5 鉋Q&A |
鉋削り屑アートのアイデア? |
彫刻材料: 鉋の削り屑は、彫刻や木工プロジェクトで利用される素材として機能します。木材の削りカスとして生じるこの素材は、彫刻家や木工家が作品の細部を仕上げるために役立ちます。 木工の副産物: 鉋の削り屑は、木工プロセスの副産物として生じる素材です。しかし、この副産物は、その美しさや独特の質感を活かして、さまざまなアートや工芸品に転用される可能性があります。 リサイクル素材: 鉋の削り屑は、木材のリサイクル素材として捉えることもできます。木工プロセスで発生したこの素材を、新たなアート作品やデザインに再利用することで、持続可能な創作活動を促進できます。 |
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鉋の技術と誤解? |
一般の人にとってのノミや鋸と大工の鉋の違い: 一般の人はノミや鋸の使用方法を理解しやすいと感じるかもしれませんが、大工の鉋の使い方は理解しにくいということが指摘されています。これは、鉋が切れるだけではなく、削れるようになるためには特別な技術や手順が必要であるためです。 鉋の技術にかかる時間と手順: 大工の鉋の使い方を習得するには、数年の経験が必要であり、鉋の刃を使いこなすためには、刃裏や刃研ぎ裏合わせ、台の調整などの技術を熟練する必要があります。これらの手順を理解し、実践することで、初めて鉋を使うことができるようになります。 鉋の使用に対する一般の誤解: 一般の人々の中には、鉋が刃が切れるだけで削れると誤解している人が多いかもしれません。しかし、鉋を使うためにはそれだけでは不十分であり、特定の手順や技術が必要です。 大工の鉋削りと「匠の技」: 大工が鉋を使いこなすことは、一般の人々にとって高度な技術であり、そのような技術を持つ大工は「匠」として尊敬されるべきだという意味が含まれています。鉋を使いこなすことができるようになるまでの努力や経験を理解することで、大工の技術を称賛することができます。 この文章は、一般的な誤解や大工の技術に対する深い洞察を提供しており、大工の鉋削りがどれほど高度な技術であるかを示唆しています。 |
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産業と生き残り? |
道具屋が生き残るのは、下降に向かっている職人から離れ無くては生き残ることはできない。成長産業と言うものは一口に申せば、生まれたて、つまり小さな粒を大きく成長させる過程が成長ある産業ではないか。 |
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鉋は量産することで切れ味が安定する? |
切れる鉋刃は、鍛造の技術などと言っていますが考えが浅いのではないか。何も考え無いで言っているだけでしか無いと思う。鉋は買い求め、裏押し、裏金合わせ、仕込み調整、下葉調整などでこれらの技術にも大きな差があるようだ。研ぐにしても、人造砥石、天然砥石、2万の価格10万の価格違いがなくては意味はないと思う。更に人の作りには体調や気候などでの変化には対処できない。むしろ、量産制作での、素材、決めた制作工程などでの作りは、平均な制作が使用間隔も一定で、多くの使用力量も平均になり、作業効率も安定で切ると思うがどうだろうか。 |
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技術の継承の受け方? |
今回の会場で、ある職人の方から「鎌毛引きの数値を合わせた後、ネジを締めると竿が動く」と質問を受け、解決方法を教えました。しかし、その職人の方は「なるほど」といった表情もなく、言葉もありませんでした。そのため、こちらとしては少々がっかりした気持ちになりました。この方法は以前にも教えたことがあるのですが、どうやら広まってはいないようです。 一般の人々の中には、「職人は意地が悪い」と考える方もいます。職人の世界には「技は盗め」という考えが根強くあるせいか、情報を共有する意識が薄いのかもしれません。 |
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こどもから学べ? |
各地で工房を開業されている皆様へ 小学生向けの学習用鉋制作を支援するボランティア教室を開講してみませんか? この取り組みは、地域との交流を深めるだけでなく、木工の魅力を広める機会にもなります。さらに、技の継承にもつながり、次世代へと伝統の技術を引き継ぐ大切な役割を担うことができます。 ぜひ、地域の子どもたちにものづくりの楽しさを伝える場を一緒に作りましょう。 |
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宇宙での手作りアートで? |
宇宙で「削ろう会」の薄削り競技大会を行った場合、無重力環境での薄削りがどのような結果になるのか、想像が難しいところです。削り屑(削り華)がどのように浮遊し、地上とは異なるどのような変化が見られるのか興味深いですね。 もし宇宙で「削ろう会」を実施するとしたら、無重力環境ならではの特徴を活かした競技内容を以下のように設定するのも面白いかもしれません。 削り屑の形状と安定性の競技:削った後の削り屑がどれだけ均一で長く、無重力環境で崩れずに漂うか、形状の美しさや安定感を競います。長く滑らかに漂う削り華を目指し、仕上がりの美しさが評価される競技です。 無重力での薄削りの限界挑戦:無重力でどれだけ薄く均一な削り屑を作り出せるかを競う競技です。地上以上に繊細な力加減とコントロールが求められ、熟練の技術が試されます。 削り屑の浮遊パフォーマンス:無重力空間で削り屑を舞わせる技術競技です。削り華が美しい形を保ちながら漂う様子や浮遊の流れ、広がりを競技の一部とし、アートのような薄削りの見せ方を競います。 吸引を活用した無重力の技術応用競技:削り屑が無重力で漂うため、吸引装置を使って削り屑をまとめたり、形を保ちながら収集する技術を競うのも面白いでしょう。 |
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職人の伝統技術の関係 |
確かに、伝統的な社寺建築では職人たちは設計図に従い、図面通りに建築を進めることが主流でした。しかし、その背景には、長い年月をかけて培われた技術と知識、そして経験が大きな役割を果たしている点を忘れてはならないと思います。図面を正確に読み取り、構造の細部を実現するための高度な技術は、やはり職人たちの能力に依存しています。 とはいえ、ご指摘のように、現代の日本の職人が新しい技術や建築物を創造する際に、図面や指示がないと実現が難しいケースが多いという点には、現代の技術教育や育成においての課題が浮き彫りになるかもしれません。他国の一部の職人や設計者が新しい設計や技術を自ら開発し、独自のアプローチを取ることに対して、日本では「職人は作るだけ」という姿勢が強調されがちです。 これには、職人の役割が昔から「正確に再現する」ことに価値が置かれていた背景があり、創造性やイノベーションよりも、既存の技術を忠実に守ることが重んじられてきたという文化的要因もあるかもしれません。しかし、今後は新しい技術やデザインを取り入れた「創造的な職人」の役割が、日本の職人文化を発展させる鍵となるかもしれません。 |
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こんな鉋をつくった? |
展示会で「こんな鉋を作った」といった内容を貼り出した場合、職人の反応にはいくつかの心理が考えられます。これらは展示会の雰囲気や職人たちのバックグラウンドによって異なりますが、一般的に以下のような反応が予想されます。 興味と関心: 自分の要望や新しいアイデアに対して柔軟な姿勢を持っている職人は、あなたの提案に興味を持つでしょう。「どんな鉋だろう?」「どういう仕組みなんだろう?」と、自分の知識や技術に新しい刺激を求める職人が集まってくる可能性があります。 懐疑と抵抗: 特に伝統に強いこだわりを持っている職人や、長年の経験から特定の道具や作り方に信頼を置いている職人は、新しい提案に対して疑いを持つかもしれません。「本当にそのような鉋が使えるのか?」や「既存の方法で十分ではないか?」という心理が働くでしょう。 挑戦心と競争心: 技術に自信を持つ職人たちは、あなたの提案を受けて「自分ならもっと良いものが作れる」と感じ、技術力の競争心が芽生えるかもしれません。これは、鉋の開発に向けたさらなる革新を促す良い動機づけになる可能性もあります。 協力意欲: 中には新しいアイデアに共感し、あなたと協力して一緒に鉋を開発したいと感じる職人も出てくるかもしれません。特に業界全体の発展や次世代への技術伝承を大事に考えている職人は、あなたの試みに積極的に協力してくれる可能性があります。 懐古的な感情: 昔ながらの手法や工具にこだわる職人は、提案が現代的すぎたり、機械的な方法が多用されると、「伝統的な技術が軽視されているのではないか」と感じ、批判的な感情を抱くかもしれません。 全体的には、職人たちの反応は多様で、興味や疑念、協力や競争といった幅広い心理が混在するでしょう。あなたの展示が職人たちにとって刺激となり、彼らの創造力を引き出すようなものになることが期待されます。 |
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鋸と伝統工芸品 |
伝統工芸品という概念は、その地域や文化において特定の技術や工法が長い歴史を持ち、その伝統を守り続けながら製造される製品を指します。伝統工芸品はしばしば手作業で作られ、その製造プロセスや素材、デザインなどが文化的な意味を持ち、特定の価値を表現します。 鋸が伝統工具になるかどうかは、その製造方法や使われている技術、文化的な背景によります。一般的に、手作業で製造された伝統的な鋸は、特定の地域や文化での長い歴史を持ち、その技術や製造プロセスが伝承されてきたものです。このような鋸は、伝統工芸品と見なされる可能性があります。 一方で、替刃式鋸は機械的な部品や技術を用いて製造される場合があり、伝統的な手法や技術とは異なる場合があります。そのため、替刃式鋸が伝統工芸品として扱われるかどうかは、その製造方法や文化的な背景によって異なります。一部の地域や文化では、近代的な技術を取り入れながらも伝統的な価値を守り続ける工芸品として扱われる場合もあるかもしれませんが、一般的には伝統工芸品として認識されることは少ないかもしれません。 |
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シンプルとは、簡素、単純、鉋のことです? |
日本の伝統的な鉋は、機能性と美しさを重視したデザインが特徴ですが、現代的なアプローチを加えることで、より魅力的なデザインになるかもしれません。以下は、日本の鉋にデザインを付ける際のいくつかのアイデアです: 伝統的な模様や文様: 日本の伝統的な模様や文様を鉋のボディに彫刻することで、日本の文化や伝統を表現できます。例えば、波や鶴、桜などのモチーフが良いでしょう。 シンプルでモダンなデザイン: 伝統的な要素を取り入れつつも、シンプルでモダンなデザインを採用することもできます。清潔で洗練されたラインやシンプルなパターンを使うことで、モダンな雰囲気を演出できます。 個性的なカラーリング: 伝統的な木目や黒ずみのある鉋に、個性的なカラーリングを施すことで、ユニークな外観を作ることができます。鮮やかな色や現代的な塗装を使って、鉋を個性的に演出しましょう。 ユニークなグリップデザイン: 鉋のグリップ部分にユニークなデザインを加えることで、使いやすさだけでなく、見た目のインパクトも高めることができます。例えば、凹凸のあるグリップやエルゴノミックな形状などが考えられます。 これらのアイデアは、日本の伝統的な鉋に現代的なアプローチを加えることで、新しい魅力を引き出すためのものです。デザインを付ける際には、伝統と機能性を考慮しつつ、ユーザーのニーズや好みに合わせてアレンジすることが重要です。 |
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技術的スキルの重要性 |
伝統的な檜材や宮大工が利用できない場合に、法隆寺の再建を行うには他の方法を検討する必要があります。以下はいくつかの代替案です。 代替材料の検討: 檜材の代わりに、同様の特性を持つ代替材料を検討することができます。例えば、強度や耐久性が似ている材料や合成材料を利用することが考えられます。しかし、歴史的な価値や美しさに関しては、檜材に対する代替は難しいかもしれません。 現代の建築技術の活用: 現代の建築技術や設計手法を活用して、法隆寺の外観や構造を再現することができます。プレハブの技術や集成材を使用して、伝統的な構造を再現することは可能ですが、その過程で伝統的な技術や材料の特性を再現することが課題となる可能性があります。 デジタル技術の活用: デジタル技術や3Dプリンティングなどの先端技術を活用して、伝統的な構造を再現することが考えられます。これにより、精密な再現や効率的な製造が可能になりますが、伝統的な技術や職人の手仕事の良さは再現することが難しいかもしれません。 文化的・歴史的な価値の考慮: 再建プロジェクトにおいては、法隆寺の文化的・歴史的な価値を十分に考慮することが重要です。伝統的な技術や材料の代替案を検討する際には、その価値を失わないように配慮する必要があります。 以上のような代替案を検討することで、檜材や宮大工が利用できない状況でも、法隆寺の再建を実現することが可能になるかもしれません。 |
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新しい鉋 幻滅から開放 |
木工を始めるには、鉋は欠かせない道具です。木工道具の中でも、鉋を使った細工は特に楽しい作業の一つでしょう。ノミや鋸のように切り進むのではなく、鉋を使って削り出すことで生まれる木屑の舞いや削り跡には、感動すら覚えることでしょう。 ヒバや桧などの素材を使い、まるで森林浴のような感覚を味わいながら、山の頂に向かって舞い上がる木屑を眺めると、つい声をあげたくなるかもしれません。しかし、鉋が調子よく削れない時には、気分が一変し、不満や愚痴が出てきます。これまでの経験から、鉋作業には幻滅も感じることがあります。 しかし、新しく販売される平出刃monoの鉋は、そのようなメンテナンスの必要が一切ない設計です。これにより、作業中に調子を崩すこともなく、より楽しい木工体験ができるでしょう。 |
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歯車であることを嫌う理由を忘れたのか。(海原雄山風に) |
歯車であることを嫌う理由を忘れたのか。(海原雄山風に) もともと、己の仕事が世の中の何の役に立つのかを知らされず、ただ機械の一部として働かされることに反発していたはずだ。それを嫌い、理想を抱いた大卒者が職人の道を選ぶようになった。だが、その職人仕事もまた、数人の分担によって成り立つもの。結局は一つの歯車に過ぎん。 さらに悪いことに、職人たちは与えられた仕事をただ形にするだけで、その部品が何に使われ、どのような機能を果たすのかを考えようとしない。ただ図面通りに作ることが仕事となり、思考を放棄する。たとえばフライパン。年間60万個を製造する工場の光景を思い浮かべれば、その作業は単調そのものであり、考える余地などない。 同じことは会社員にも言える。専門のスタッフが配置され、特定の業務を担当する。しかし、その専門家たちも入れ替わりが激しく、長期的な改革など夢のまた夢。根本的な改善がなされぬまま、ただ機械の歯車として機能するだけ。 結果として、日本の経済は停滞し、海外に追い抜かれるばかり。何のために働くのか、何を生み出すのか、考えることを放棄した社会に未来はない。 愚か者め。貴様らは、自らの手でこの国の衰退を招いているのだ! |
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笑いはプロの技 |
「職人が毎日同じことを続け、熟練して目をつぶってもできるようになる」という考え方は、ある意味ではその技術の習熟度を示しています。しかし、単に「同じことを繰り返す」だけではなく、職人の本質は、日々の作業の中で細かい改善を重ね、精度や効率、質を高めることにあります。そうした努力や工夫を通じて、技が洗練され、結果的に「芸」と呼べるレベルに達するのです。 一方、スポーツなどで「過去のプロの記録を破る」こととは、確かに性質が異なります。記録を破ることは、目に見える数値で結果が明らかになる分、達成感が大きいですし、競技の世界ではしばしばそれが進歩とみなされます。対して、職人の技術は、しばしば目に見えない精緻な部分での進歩や変化に価値が置かれます。それは、表面上は同じように見える作業でも、細部に込められた工夫や長年の経験が集約された結果です。「身につけた技術を技と呼べるか」という問いに関しては、技術そのものが習得の過程だけでなく、いかにその技術が状況に応じて柔軟に使われ、さらなる工夫や創造性を生み出すかが重要です。たとえ同じ作業を繰り返しているように見えても、その中で進化や改善を見出し続けているなら、それは技と呼ぶにふさわしいものではないでしょうか。 ですので、職人の「技」は単なる反復の結果としてではなく、常に向上心を持ち、新たな価値や品質を生み出す姿勢によって成り立っているものと考えられます。それが職人技の本質であり、だからこそ長年の経験が称賛される理由でもあります。 |
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大工の分業と専門職 |
大工の仕事には細かい分業があり、特定の作業を専門とする職人が存在していました。ホゾ穴掘りや鉋削りに関しても、専門職がいた時代がありました。 1. ホゾ穴を掘る専門の職人 昔の大工仕事では、ホゾ穴を掘る作業を専門に行う職人がいました。これらの職人は「穴屋(あなや)」や「掘り方(ほりかた)」と呼ばれ、ノミやチョウナ(手斧)、ホゾ取り用の道具を駆使して、木材にホゾ穴を開ける仕事を担当していました。 穴屋の役割 建築現場では、木組みの精度が重要なため、ホゾ穴を均一に開ける技術が求められた。 手作業で行われていた時代は、ノミや槍鉋(やりがんな)を使って慎重に加工。 柱や梁にホゾ穴を開ける作業を専業にしていた。 鉋掛けや刻み作業は別の職人が担当。 江戸時代から明治時代にかけて、寺社建築や城郭建築では「掘り方」の職人がいたが、大工全般が手掛けるようになり、機械工具の普及とともに専門職としては消えていった。 |
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海原雄山の教え |
1. 哲学的な教え 雄山が伝えようとしているのは、料理そのものだけでなく、料理を通じた生き方や価値観です。 食材への尊敬や感謝、自然との調和を重視する姿勢は、料理を超えた生命観や倫理観を伝えています。 料理を作る人間の心構え、すなわち「料理は人の心を映す」という理念が頻繁に登場します。 2. 感覚と技術の融合 雄山は、味覚や技術の表現において、理屈ではなく感覚を重視する場合が多いです。 彼の教えには、科学的な裏付けや理論も一部含まれるかもしれませんが、それ以上に「実際に感じること」「経験を通じて得ること」が大切にされています。 これは職人仕事でよく見られる「目で見て、手で覚える」という教育法にも通じます。明文化されない「暗黙知」を後継者に伝えることが目的です。 3. 美意識と文化の探求 雄山の教えは、料理を単なる食べ物として捉えず、「日本文化の結晶」として尊重しています。 器や盛り付けなどの視覚的な要素や、出汁や素材の本来の味を活かす手法など、「美」に対する探求心が含まれます。 これは、茶道や華道などの伝統芸能にも通じる精神で、日本文化全体を学ぶ一環とも言えます。 4. 厳しさの理由 雄山が時に厳格で冷徹に見えるのは、教えの本質を理解するための試練を与えるためです。 実際には厳しさの裏に「料理人や弟子を育てるための愛情」があり、相手に自己成長を促す意図があります。 これは職人の世界でも「一を聞いて十を知る」能力を磨くために採用される厳しい指導法と似ています。 結論 海原雄山の教えは、単なる学問ではなく、生き方、感性、文化を総合的に捉える実践哲学といえます。それは「暗黙知」と呼ばれる、言葉で完全に説明しきれない職人の技術や精神と非常に近いものです。『美味しんぼ』を通じてその教えを見ることで、我々もまた、自らの感覚や価値観を再確認する機会を得るのではないでしょうか。 |
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ハイス鋼と炭素鋼の切れ味 |
ハイス鋼(高速度工具鋼)の焼入れ時に硬さを調整して、手作業で研ぎやすい硬度(およそHRC 58〜62程度)に設定した場合、以下のような切れ味や特性が予想されます。 1. 硬さの調整が切れ味に与える影響 硬度を下げると靭性が向上: 通常のハイス鋼(HRC 63〜67)は非常に硬いため、刃先が欠けにくい一方で、手研ぎが難しい特性があります。硬度を下げると、靭性が向上し、刃先が微細な欠けに強くなり、研ぎやすくなります。 刃先の鋭さ: 硬度をやや抑えることで、砥石での研ぎにより鋭利な刃先を得やすくなり、研磨効率が向上します。 耐摩耗性の低下: ハイス鋼の高硬度による耐摩耗性がやや低下するため、切れ味の持続性が純粋なハイス鋼に比べて短くなります。 2. 調整後のハイス鋼の切れ味 初期の切れ味: 硬度を下げても鋭利に研げば、初期の切れ味は炭素鋼や通常のハイス鋼に近い水準を保つことが可能です。ただし、炭素鋼のような「柔らかい木材を吸い付くように切る感触」にはわずかに及ばないかもしれません。 長時間の使用: 耐摩耗性が少し低下しているため、長時間使用すると刃先が丸くなるのが早く感じられる可能性があります。しかし、硬い材料に対しても安定した切れ味を提供できます。 3. 使用シーンでの評価 硬い木材や硬質材料: 通常のハイス鋼よりも若干摩耗しやすいですが、炭素鋼よりは長持ちします。硬い材料を削る際には十分な性能を発揮します。 柔らかい木材や仕上げ作業: 初期の切れ味は良好ですが、炭素鋼ほどの滑らかさや感触の良さは得られにくい場合があります。 4. 研ぎやすさの改善 硬度を抑えることで手研ぎが可能になり、職人や一般ユーザーにとって扱いやすいハイス鋼の刃物が実現します。例えば、小学生や初心者向けの刃物として適した特性となり、普及性が向上する可能性があります。 結論 ハイス鋼の硬さを手研ぎ可能なレベルに調整することで、研ぎやすさが向上し、硬い材料にも対応できる実用性の高い刃物が得られます。ただし、炭素鋼や通常のハイス鋼のような特化した切れ味や耐摩耗性を期待する場合には、それぞれの材料に適した硬度設定が必要です |
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西陣織と伝統工芸 |
西陣織が壁紙のような新しい使用目的で制作された場合、それが「伝統工芸品」として認められるかどうかは、製作の過程や基準に大きく依存します。 伝統工芸品の定義と基準 日本では、伝統工芸品の指定に関する基準が法律(伝統的工芸品産業の振興に関する法律)で定められています。この基準には、以下のような要件が含まれます: 主として日常生活で使用されること。 壁紙も広義では生活空間で使われるため、この要件を満たす可能性があります。 製造工程が主に手作業で行われること。 壁紙として制作されても、伝統的な手法で織られているなら、問題はないでしょう。 伝統的技術・技法が用いられること。 壁紙用であっても、西陣織独特の技術やデザインが使用されていれば、この基準に適合する可能性があります。 原材料に伝統的なものを使用すること。 壁紙としての機能を持たせるために化学素材や接着剤などが多用されると、この基準に抵触する可能性があります。 一定の地域で産地形成されていること。 壁紙として制作されても、京都の西陣地区で生産されていれば問題ありません。 使用目的の変化と伝統の継承 壁紙としての使用は、伝統工芸品としての「用途の範囲」から外れる可能性がありますが、使用目的の変化そのものは伝統の否定にはなりません。重要なのは、制作過程や技術が伝統に基づいているかです。 考慮すべき点 意匠の方向性 壁紙としての需要に応じて、意匠が大きく変化するなら、それが「伝統的」かどうかの議論が必要になるでしょう。 伝統的価値とのバランス 市場での収益を目的にした現代的な応用が広がりすぎると、伝統工芸品としてのブランドや価値が損なわれるリスクもあります。 新用途での「文化継承」 壁紙として活用されることで、結果的に技術や知識が次世代に継承されるのであれば、伝統工芸品としての枠を広げる試みとも捉えられます。 結論 西陣織を壁紙として制作すること自体は、必ずしも伝統工芸品としての資格を失うとは限りません。ただし、使用目的が変化する際に、伝統工芸品としての基準(特に技法や素材)を守ることが不可欠です。このバランスを慎重に保つことが、伝統と現代のニーズを結びつける鍵となるでしょう。 |
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技の成長の過程 |
その解釈で非常に良いと思います。「技」というものは、一度で完成するものではなく、できなかったことを繰り返し練習し、習得していく過程で磨かれていくものです。失敗や試行錯誤を通して、その技術が体得され、徐々に「できる」状態へと変わっていくことが技の本質とも言えますね。 さらに言えば、できるようになってからも、より良い精度や美しさを追求していくのが「技」を磨くということです。その探求や改善もまた、技の成長の一部と考えられるでしょう。 |
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6 鉋 Q&A |