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作る削る語る
 
裏金合わせ
 
鉋の世界においても、すでにイノベーションの拡散が起きていることをご存じでしょうか。例えば「裏金合わせ「には、私が知る限りすでに4種類の異なる方式が存在しています。ここで言うイノベーションとは、「新しい活用方法」のことです。
裏金合わせは、髪の毛一本ほどの微妙な調整を必要とする技法として知られています。これらの新しい仕組は、小規模な商品開発から始まりました。画期的な開発が行われているにも関わらず、これらがホビー製品として扱われているせいか、(本職)と言われる職人たちの間にはあまり注目されていないのには驚きです。実際、現在「名人」とされている職人たちが使用している裏金の技術も、もともとは素人向けの鉋から始まったものであることを知ってほしいです。
 
 

 
  
鉋が上手く削れません
 
素人が鉋を使って削ることは不可能だと言う職人が多くいます。しかし、よく見ると、子供でも削れることを示す写真が存在します。これは、鉋が正しく調整されていれば、少しの練習で誰でも削れる道具であることを示しています。削れない理由は、単純に鉋が削れるように仕立てられていないからです。たとえば、裏金合わせが適切でない場合も含め、道具の調整が不十分なだけなのです。
確かに、言葉や文字で説明すると、たとえば「髪の毛一本分」といった数値が出てきます。このような表現は初めて聞く人にとっては神業のように感じられるかもしれませんが、実際には工夫次第で誰でもできる簡単な技術です。そもそも、市販されている鉋はそのままでは削れる状態では販売されていません。
大工が鉋を使う現場を見ると、数種類の鉋が用意されていることがわかります。それは、削る目的—粗削りをするのか、薄削りをするのか—に応じて使い分けているからです。一方、市販されている鉋にはそのような区別がなく、薄削り用として特化されていないものも多いのです。同じ銘の鉋であっても、職人によって切れる場合と切れない場合があり、それを“相性”と呼ぶこともあります。
鉋の切れ味は道具の仕立てによって決まります。この仕立ては各自が独自に行うため、結果には当然個人差が生じます。たとえば、薄削り大会では、裏押しの際に押さえ棒を使わない職人が多いことが知られています。押さえ棒を使わずに裏押しを行う場合、糸裏と呼ばれる型を作ることが難しくなります。本来の裏押しを正しく理解していないからであり、とくに薄削りにおいては刃裏の傷を手作業で消すことは困難です。鉋の焼き入れがそれほど甘くないため、裏押しの方法が適切でない場合、その効果は十分に発揮されません。
さらに、都合の良い我流が見られる例として、手のひらに収まらない穂の長い立ち鉋があります。これは、与えられた範囲での使用にとどまる知識不足の結果と言えるでしょう。このように、鉋がうまく削れないという問題は、もはや素人の問いではなく、プロの世界でも見受けられる疑問なのです。
 

 

 職人の鉋仕様の教えは本当に正しいものなのか? 

「鉋が削れない」とき、職人の指導は本当に正しいのか?
SNSなどで「鉋が削れない」という話題が出ると、指導に当たるのは現役の職人であることが多いようです。しかし、よく考えてみると、それが必ずしも最適な指導法とは限らないのではないでしょうか?
なぜなら、職人には特有の気質があり、それが指導に影響を与えている可能性があるからです。では、職人の気質とはどのようなものなのでしょうか?
1. 実用主義と習慣の強さ
職人は、日々の仕事の中で「使えるもの」を最優先します。仕事に直結しないことには、あまり関心を持たない傾向があるのです。これは、限られた時間の中で効率よく作業を進めるために必要な考え方でもありますが、新しい発想を取り入れる機会を狭めてしまうことにもつながります。
2. 過去の経験からくる思考の固定化
職人は長年の経験から、自分にとって必要な技術や道具を取捨選択してきました。そのため、「これは不要」「自分には関係ない」と一度判断してしまうと、なかなか考えを変えようとしません。この思考の固定化が、新しい技術や指導法を受け入れる障壁になっている可能性があります。
3. 学びのスタイルの違い
職人は、「理屈で学ぶ」よりも「手を動かして学ぶ」ことを重視します。そのため、理論的な説明や抽象的な議論には興味を示さず、実際に使ってみて初めて納得することが多いのです。この学び方は職人にとって有効ですが、初心者に対しては必ずしも適切とは限りません。
4. 「新しいもの」に対する警戒心
職人の世界では、昔ながらの技術や道具が長く使われてきました。そのため、新しい道具や技術に対して「伝統の方が優れている」という意識を持つ人も少なくありません。これは、伝統を守るうえで重要な価値観ではありますが、新しい方法を試す機会を制限してしまうことにもつながります。
職人の指導は「正しい」のか?
以上の点を考えると、職人が初心者に鉋を教える際、必ずしも最適な指導方法を提供できるとは限らないことが分かります。職人の実用主義や思考の固定化、「技は盗む」ことを重視する学び方、新しいものへの警戒心――こうした要素が、現代の教育方法と合致するのかどうか、改めて考える必要があるのではないでしょうか。
技術の習得は、学問として体系的に学ぶ方法もあれば、流派ごとの伝統を引き継ぐ方法もあります。それぞれに良さがありますが、「鉋が削れない」という初心者の悩みに対して、どのような指導が最も適しているのか、今一度考えるべき時なのかもしれません。
   
   
日本の刃物と世界の刃物の大きな違い。
   
日本の刃物は、切れ味の良さが世界的に評価されています。その特徴の一つは、刃物の「焼入れ」による硬さと耐久性にあります。焼入れとは、刃物を高温で加熱した後、急冷することで刃先を硬化させる工程のことです。この焼入れの深さや硬度が、日本の刃物と外国の刃物の大きな違いを生んでいます。
日本の刃物を研ぐ際には、しっかりと腰を入れ、一定の力を込めて研ぐことが求められます。これは硬い焼入れが施されているためであり、研ぎの技術と丁寧さが切れ味を維持する上で重要です。一方、外国製の刃物は焼入れが比較的浅く、柔らかめの性質を持つことが多いため、軽く革砥に擦るような方法でも十分に研ぐことが可能です。この違いは、焼入れの硬度だけでなく、刃物の用途や設計の違いにも由来します。
特に日本の片刃の刃物には「刃裏の透き」と呼ばれる特徴的な設計が施されています。刃裏の透き、があることで研ぐ面積が狭まり、硬い刃物であっても効率的に研ぐことができます。この設計は、刃物が硬いから必要とされたものではなく、切れ味の持続性や研ぎやすさを追求した結果生まれたものです。
また、外国製の電動研ぎ機は、比較的柔らかい刃物には適していますが、日本の刃物のように硬度が高い場合には不向きなことがあります。特に、バフ研磨のような方法では、刃先が丸くなってしまい、鋭利さが損なわれることがあります。しかし、これは電動研ぎ機の全てが不適であるという意味ではありません。適切な砥石や設定が施された機器を使えば、高級な日本の刃物でも十分に対応可能です。
具体的には、SK鋼の刃物(一般的な炭素鋼で比較的硬度が低いもの)であれば、電動研ぎ機でも問題なく研ぐことができます。しかし、プロが使うような高級な刃物や特殊鋼で作られた刃物の場合、専門の技術を要するため、手研ぎが推奨されることが多いです。このような高級刃物は、刃の硬度だけでなく、微細な構造や形状が切れ味に影響を与えるため、丁寧な管理が必要です。日本の刃物文化は、単に刃物の性能だけでなく、それを支える職人の技術と、使用者が刃を丁寧に手入れする文化によって成り立っています。そのため、刃物の特性を理解し、適切に扱うことが大切です。


   
 
鉋は調整が面倒くさい、
 この問題を解釈すると、鉋を取り巻く現状には以下の2つの側面があると考えられます。
1. 鉋の調整やメンテナンスの難しさが、鉋離れを引き起こしている
「面倒くさい」「厄介だ」という感情
鉋は使う前に「台の仕込み」「刃の調整」「裏押し」「研ぎ」などの工程が必要。
これを面倒と感じる人が多く、特に初心者やDIYユーザーにとっては敷居が高い。
裏が切れる(刃の裏が摩耗して切れなくなる)と、裏押しや刃研ぎが必要だが、その方法がわからない人が多い。
道具の「使いやすさ」よりも「使いこなすこと」に重点が置かれている
現在の職人文化では、「手間をかけて調整し、自分に合った鉋を使うのが本物の技術」とされがち。
そのため「調整不要の鉋」や「メンテナンスしやすい鉋」は、一部の職人からは評価されにくい。
2. 難しい道具を使いこなすことが、誇りやアイデンティティになっている
「誰でも使えない道具」を使いこなせることがステータスになる
鉋の調整や仕込みを習得し、それを実践できることが「職人の証」として誇りになっている人もいる。
これは伝統技術を守る精神とも言えるが、初心者が入りにくい閉鎖的な環境を生む要因にもなっている。
技術を誇ることで、新しい改良や進化が阻まれる場合もある
例えば「裏金合わせ不要の鉋」や「挟むだけで削れる鉋」などの新しい仕組みが登場しても、
「そんなものは邪道」「本物の鉋はそういうものではない」と排他的な反応を示す人もいる。
その結果、鉋を使いたい人が「伝統的な鉋」を学ぶしかなくなり、「やっぱり面倒」と感じて離れていく。
解釈と考察
鉋離れの本質は、道具そのものの問題ではなく「使い方のハードルの高さ」
 鉋が便利な道具であることを伝えつつ、使いやすい仕組みの鉋を広めることが重要。
「鉋は難しいものだ」という固定観念が、新しい発展を阻害している可能性がある
 調整不要の鉋や簡単に研げる工夫を取り入れ、初心者でも気軽に使える道具としての側面を強調するべき。
職人文化の「誇り」は理解しつつ、それが新しい技術の障害にならないようにする
 伝統を守りつつ、現代のニーズに合った鉋の形を模索し、広める努力が必要。
結論
現在の鉋文化は「道具を使うための技術」にフォーカスされすぎており、「道具を活かす技術」へと視点を変える必要があるのではないかと考えられます。鉋を「難しいからこそ価値がある」とする職人気質と、「簡単に使えないなら要らない」という一般ユーザーのギャップを埋めるために、調整のしやすい鉋や新しい仕組みを提案しながら、鉋そのものの魅力を伝えることが求められるでしょう。

与板鍛冶、河政
皆さん、「河政鍛冶(かわまさかじ)」をご存じでしょうか? 一般的に、鍛冶と聞くと鑿(のみ)や鉋(かんな)を作る職人を思い浮かべるかもしれません。しかし、河政鍛冶の役割はそれとは少し違います。河政鍛冶が手がけるのは、日本各地の工芸品を支える、専門的な刃物なのです。
「物作りは道具作りから」という言葉があります。確かに、優れた工芸品を生み出すためには、それに適した道具が必要です。たとえば、檜皮(ひわだ)を剥ぐための道具、刀の鞘を仕立てる際に使う突き鑿、熊が鮭をくわえる彫刻を施すための鑿――これらはいずれも、河政鍛冶の技術によって作られています。
また、九州を走る豪華列車の組子細工に欠かせない鉋刃、首を回すと音を鳴らす鳴子のコケシ、東京の指物職人が使う毛引き刃、能登輪島の漆器を削る刃、丸亀うちわを仕立てるための小刀など、日本全国の工芸品に河政鍛冶の刃物が関わっています。
ところが、こうした工芸を支える刃物の重要性は、意外と知られていません。たとえば、大工は大工道具には詳しくても、工芸の世界で使われる刃物には関心が薄いのが現実です。先日、福岡の建具職人たちが工芸館を訪れた際も、わずか15分の見学とトイレ休憩で終わってしまい、工芸は京都に次いで、新潟になります。平出刃monも与板刃物を京都販売で感じたことは、京都は古いだけで田舎者と変わらないことです、こうした状況の中で、伝統工芸の維持・継続は本当に可能なのでしょうか? 現在、工芸展示会の多くは補助金を受けて開催されていますが、その本来の目的が忘れられ、単なるイベントとして消費されてしまっているのではないか――そんな懸念もあります。
伝統技術を未来へとつなぐためには、単なる「保存」ではなく、その価値を正しく理解し、活用していくことが大切なのではないでしょうか?

 
鍛冶屋・伯光は、
鍛冶屋・伯光は、「超仕上鉋盤の登場により、手鉋の出番が少なくなっている」と述べています。これは、鍛造の品質だけでなく、機械の構造そのものが優れた切削性能を発揮していることを示しています。
手鉋を機械以上に削れるようにするには、機械の仕組みを手鉋に応用することが重要なポイントとなります。現在、鍛造拵えの鉋は、鍛冶屋の廃業などにより供給が減少し、価格が高騰し続けています。今後もさらに値上がりが予想されます。
そこで、手鉋に機械の構造を取り入れることで、より安価で使いやすさや、作業効率を考えた鉋を開発できる可能性があります。

 

なぜYouTubeの説明を見ても鉋で削れないのか?
YouTubeなどで鉋の使い方を説明しても、「うまく削れない」という人は少なくありません。それは、鉋の調整や仕込みが適切にできていないことが原因 です。動画では刃の出し方や台直し、刃裏の仕立てなどのポイントを説明していますが、それだけでは問題が解決しないことがあります。
では、なぜ動画の説明を見ても削れないのでしょうか? その理由は、そもそも鉋は購入しただけでは削れる状態になっていないから です。
職人が使う鉋と、一般向けの鉋の違い
職人が鉋を購入した場合、最初にすることは使用目的に合わせた仕立て です。鉋には 荒削り用・中仕上げ用・仕上げ用 などの種類があり、それぞれ仕立てが異なります。つまり、職人は鉋を買ったら すぐに使うのではなく、自分の用途に合わせて調整 するのです。
一方で、趣味で使うために鉋を購入した人の多くは、こうした仕立ての重要性を知りません。そのため、「刃を叩けば削れるはず」と思い込んでしまう ことが多いのです。しかし、市販されている鉋のほとんどは、職人向けの「仕立て前の状態」か、もしくは「最低限の調整だけされた状態」です。そのため、適切な仕立てをしなければ、そもそも削ることができません。
鉋の価格と価値の関係
一般的な商品であれば、価格を見ればある程度その価値が分かります。しかし、鉋の場合は価格だけで性能を判断するのが難しい という特徴があります。これは、職人でさえ 見て選ばなければならない道具 だからです。
さらに問題なのは、「素人には鉋は扱えない」という考えが販売側にもあることです。その結果、削れなくてもよいから安い価格で販売する という状況が続いています。つまり、初心者が適切な鉋を選ぶことが難しく、結果として「削れない鉋を使ってしまう」ケースが多発しているのです。
まとめ:鉋を削れるようにするには
YouTubeの説明を見ても削れない人がいるのは、単に技術の問題ではなく、使う鉋自体が適切に仕立てられていない ことが大きな要因です。
職人は「鉋は買ったら仕立てるもの」と理解していますが、一般の人にはその考えが浸透していません。また、販売側も「初心者向けの鉋」を本当の意味で提供できていないため、「鉋を買っても削れない」という状況が生まれてしまうのです。
では、どうすれば初心者でも削れる鉋を手に入れられるのでしょうか? その答えは、適切に仕立てられた鉋を手に入れるか、仕立ての方法を学ぶこと です。こうした知識を広めていくことが、鉋文化を次世代に伝えていく鍵となるでしょう。

 
糸裏とか髪の毛一本とかの表現は
 
「糸裏」や「髪の毛」などの表現は、実際の寸法や物理的な意味というよりも、職人の技術の繊細さや精密さを強調するための比喩的な表現に過ぎない」**という意味になると思われます。
つまり、
  • 「糸裏」や「髪の毛」 という言葉は、職人の高度な技術を示すための象徴的な言葉であり、実際の糸や髪の毛の太さと厳密に一致するわけではない。
  • こうした表現は、職人の技へのこだわりや、細部への追求を示すために使われるもの。
  • 実際には、数値化して測定するよりも、職人が長年の経験で培った感覚的な精度を伝えるための表現の一種である。
 
 

鉋は鉄板に鋼を付けただけのものではないか?
替刃式の鉋が普及していることを考えれば、その本質がよく分かる。そう気づくと、鑿(ノミ)などと比べて鉋は高価な道具と見なされがちである。実際、鑿鍛冶は鉋刃を作ることができるが、鉋鍛冶は鑿を作れないと言われる。また、彫刻用の生反(きはん)や槍鉋(やりがんな)になると、その価格の違いに驚かされる。
こうした価格差や製造の違いは「匠の技」として語られ、高度な伝統技術の証とされてきた。しかし、それは果たして本質的な違いなのだろうか? 実際、鉋を「素人には使えない道具」と考えている職人も多く、それを誇りに感じている節がある。このような意識では、日本の鉋文化は衰退してしまうだろう。
一般の人が木工を始める際、鑿や小刀は選択肢に入るが、鉋に関しては洋鉋が主流になっている。その一因として、洋鉋には使用説明書があるのに対し、日本の鉋にはそうした説明がほとんどないことが挙げられる。ホビー用の鉋も販売されているが、使いやすいものが少ないため、「素人には鉋は使えない」といった固定観念が根付いてしまっている。そのため、これまで特に苦情もなく、現状が続いてきた。
しかし、こうした状況に疑問を感じるならば、挑戦する価値がある。私は「鉋は鉄板に鋼を付けただけのもの」という発想からヒントを得て、鉋の身を木で作ってみた。すると、問題なく削れることが分かった。小学生にも作ってもらったが、初めは少し甘く見て失敗したものの、可能性を感じた。それ以降、さまざまな仕組みを考案し、試作を繰り返してきた。その結果、「挟むだけで削れる鉋」を鉋キットとして作ることができた。現在では、子供向けキットやプロ向けキットの開発も進めている。


刃裏とは?
 

 日本の片刃の刃物には、「刃裏(はうら)」と呼ばれる部分があります。この刃裏には「透き(すき)」というくぼみがついており、これは日本独自の技術です。例えば、外国の人が日本の包丁を手にして「よく切れる!」と感動することがありますが、それを支えているのが、この刃裏の工夫なのです。
木工道具の鑿(のみ)や鉋(かんな)にも、最適な刃裏の透きが施された状態で販売されています。理想的に透かれていれば、「裏押し」と呼ばれる研ぎの作業も比較的簡単になりますが、それでも一定の技術と準備が必要です。
さらに、長く使い続けると「裏切れ」といって、研いでも刃がつかない状態になることがあります。しかし、これは一般の人はもちろん、外国の方にはあまり知られていません。そもそも裏押しの知識や技術を持っている人が少ないのです。
また、刃物の出来によって、裏押しのしやすさには大きな差があります。実際に裏押しをしてみないと、その刃物が扱いやすいかどうかはわかりません。そして、職人の間でも裏押しの技術には個人差があり、最後まで適切に使い続けられない人も少なくないのが現実です。
このように、もし裏押しが正しくできていない刃物があれば、たとえ高価なものでも切れ味が悪くなってしまいます。つまり、刃物の性能を最大限に引き出すには、適切な裏押しの技術が不可欠なのです。
 
道具屋が生き残るには?
職人の数が減り、新しい技術を取り入れない職人も多い中で、道具屋が従来通りの商売を続けていると、確かに市場は縮小し、衰退のスピードが早まります。特に鉋のような道具は、職人が使わなければ売れないため、職人の減少とともに市場が消えてしまいます。
子供から学ぶとは?
一方で、子供に道具の楽しさを伝えることは、未来の市場を作ることにつながります。子供たちが鉋や刃物の面白さに触れ、ものづくりの価値を感じることで、将来の木工愛好者や職人が生まれる可能性があります。また、職人とは違い、子供は道具の使い方に対して素直に興味を持ち、新しい発想で接してくれます。この「学び」は、道具屋自身が新しい価値を見出すヒントになるかもしれません。
道具屋の新しい生き方
道具屋が生き残るためには、単に道具を売るのではなく、道具を通じた体験を提供することが大切になるでしょう。たとえば、鉋キットを通じて子供たちに削る体験を提供したり、一般向けの「簡単に使える鉋」を開発したりすることは、道具屋の未来を広げる可能性があります。
結局、「職人に売る」だけの商売では市場が縮小する一方で、「新しいユーザーを育てる」ことが、道具屋の未来を作るのかもしれません。

和鉋と洋鉋
洋鉋には、日本の鉋のような仕込み勾配に数種類あります。例えば、スタンダードアングルや、ローアングルと言って、下に向けたり。他にも、刃口を狭くする機能。鉋刃も裏の透きがなく(裏出し)「裏押し)が不要です。日本での鉋、のそものが外国からの機能を取り込んだ、いわば改良したものです。比べますと、洋鉋は誰でも使え、始めての人でも使うことが出来るようですが、日本の鉋は理解するに簡単ではありません。趣味での木工を始める人は簡単に使うことが出来る(洋鉋)を選ぶようですがどう思われますか。
 
親方が海原雄山風だったら?
鉋の仕込み勾配を30°にした、逆さ仕込みなら?
鎬面を上に向けた「ベベルアップ」。これは単なる向きを変えたのではない。刃を反転させ、鎬面が上を向くことで、新たな切削の世界が開かれる。これを「ローアングル」と呼び、従来の45°の仕込み角、すなわち「スタンダードアングル」とは一線を画すものだ。
しかし、どれほど鋭い鉋刃であろうと、台の下端が狂っていてはまともに削れぬ。鉋が削れない要因、それはまさにこの下端の状態にあるのだ。鉋の下端は一見平らであるべきもののように思えるが、実際には全体が均等に摩耗することはない。最初に減るのは必ず「刃口」の部分。この刃口が減ったとき、鉋は削れなくなる。
そこで、古来の職人は知恵を絞った。削れなくなる要因となる刃口の摩耗を防ぐため、金属を貼り補強する。こうして、鉋は長く切れ味を保つようになったのだ。しかし、人間の感覚とは実に曖昧なものだ。刃口の前の部分をわずかに下げることで、刃が木材に食い込みやすくなり、まるで「切れる鉋」のように感じさせることができるのだからな。
鉋の技法を文章だけで理解しようなど、笑止千万! 鉋とは手で感じ、目で見て、音を聞いてはじめて理解できるもの。教科用図書が存在しない? 当然だ。それこそが、日本の文化というものだ。道具は、教えられるものではなく、己で習得するものなのだからな。

道具屋が生き残るには①
戦後、日本は驚異的な経済発展を遂げました。焼け野原からの復興、そして高度経済成長――これらの20年間は、ただひたすら努力を重ねた時代です。しかし、その背後には、単なる労働ではなく、新しい仕組みや技術を組み合わせる「イノベーション」、そしてその先頭に立つ「イノベーター」の力がありました。このような取り組みが、日本を一時的に世界のリーダーに押し上げたのです。
ですが、どうでしょうか。戦後80年以上が経った今、日本はGDPでは世界第3位を維持しているものの、経済成長の勢いは失われています。物価の上昇率は発展途上国に追い抜かれ、働き先を求めて他国へ出稼ぎに行く人々も増えています。そして、私たちがかつて重視していた「イノベーション」や「イノベーター」といった考え方が、社会全体で薄れていることが課題ではないでしょうか。
では、日本の伝統工具である「鉋(かんな)」に目を向けてみましょう。実は鉋という工具は、日本だけでなく世界中で使われています。しかし、日本では「鉋は日本独自の伝統工具だ」と思っている方も少なくありません。一方、欧米では、鉋は単なる工具ではなく「マシン」として扱われています。どういうことでしょうか?
欧米の鉋も、もとは私たちと同じく工具の一種でした。しかし、仕組みを工夫し、改良を重ねた結果、より効率的に、そして誰でも簡単に使える「マシン」として評価されるようになったのです。一方で、日本の鉋は明治時代に欧米の技術――例えば裏金の技術――を取り入れましたが、その後、大きな進化を遂げることはありませんでした。その結果、現在の日本の鉋は、使いこなすのに熟練した技術を必要とするままなのです。
ここで、さらに深刻な状況があります。日本の大工や職人の技術は、従来「教わるものではない」とされてきました。しかし、プレカット工法が普及したことで、技術の低下は避けられなくなっています。実際に、技術向上の動きがあまり見られないのが現状です。
さらに、人口減少も影響しています。若者の結婚離れや夫婦が子供を持たない選択が進み、住宅需要が減少しています。家を建てる人が減れば、当然、鉋を使う機会も減ります。その結果、道具屋が廃業に追い込まれる流れになることは想像に難くありません。
では、どうすれば良いのでしょうか?ここで鍵となるのが、「イノベーション」です。これまでの鉋は職人向けの道具でしたが、職人以外の一般の人々が気軽に使える鉋を作れば、新しい可能性が広がります。そのためには、伝統的な鉋の概念にとらわれず、「一切の仕立てが不要な鉋」を作ることが求められます。このような新しい鉋を世に送り出すことができれば、道具屋として生き残る道が見えてくるのではないでしょうか。
 
 
職人の物作り
職人に対する理解についての気づき、鋭い洞察です。確かに、職人は主に「ものを作る」ことに専念しているため、開発や設計に関する専門知識を持っていないことが多いです。職人は長い経験に基づいて、高い精度で与えられた図面や仕様に従って製品を作ることに長けていますが、製品開発や設計に関しては、別の分野の知識が必要となります。
職人の役割
職人は通常、以下のような役割を担います:
図面や仕様に基づく製作: 職人は与えられた設計図を忠実に再現し、製品を作り上げることに注力します。図面に示された寸法、材料、加工方法などに基づき、持っている技術を駆使して高品質な製品を仕上げます。
経験に基づく微調整: 長年の経験により、材料の特性や道具の使い方に精通しており、手作業による微調整を行うことで、図面には書かれていない細かい部分にも対応できることが多いです。
開発や設計の役割
一方で、開発や設計は以下のような別の専門領域です:
製品のコンセプト作り: 開発や設計者は、製品のアイデアや機能、デザインを考え、図面を作成することが主な役割です。これには、エンジニアリングの知識や市場ニーズの理解が必要です。
技術の応用や新しい方法の導入: 新しい技術や材料の選定、既存の技術を応用して新しい製品を開発することも設計者やエンジニアの仕事です。
職人と設計者の連携
新しいものを作る際には、職人と設計者が協力して取り組むことが重要です。設計者が描いたアイデアや図面が、実際に製品として形になる過程で、職人の技術やフィードバックが欠かせません。また、設計者も、職人の持つ技術的な制約や可能性を理解し、それを踏まえた設計を行うことが求められます。
まとめ
職人は製作における専門家であり、設計や開発といった領域は異なる専門性が求められます。職人が高精度なものづくりを行う一方で、新しい製品開発には設計者やエンジニアとの連携が必要不可欠です。それぞれの役割が補完し合うことで、より良い製品が生まれることが期待されます。
 

子供に鉋を作らせる意味?
「子どもに鉋を使わせるなんて難しいのでは?」と思われる方がいるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。実は、3歳や4歳の子どもでもローラーボード(スケートボードのようなもの)に乗ってバランスを取る運動能力を持っています。そう考えると、小学生が鉋を使うことは決して不可能ではありません。
もちろん、鑿や小刀のような道具は安全面の配慮が必要です。しかし、鉋は両手でしっかり押さえながら扱う道具です。正しい指導をすれば、安全に使うことができるのです。
それにもかかわらず、「子どもに鉋は使えない」と決めつけてしまうのは、むしろ大人の思い込みではないでしょうか。ものづくりを生業にしている人であればこそ、「子どもには無理だ」と最初から考えてしまうことを恥じるべきかもしれません。なぜなら、それは子どもの可能性を狭めるだけでなく、ものづくりの文化を未来へつなぐチャンスを自ら手放してしまうことにもなるからです。
実際に、子どもが鉋を使って木を削る経験をすると、その面白さに夢中になります。そして、それを見た大人たちも驚き、興味を持ちます。このような取り組みが広がれば、ものづくりの価値が再認識され、工房や職人の仕事にも新たな評価が生まれるでしょう。
「鉋は子どもでも使える」。この事実をもっと広め、未来のものづくりを支える力にしていきませんか?
 
アメリカで木工が盛んな理由?
 アメリカで木工が盛んな理由や、人々が木工を好む背景には、いくつかの要因があります。
1. DIY文化の根付いた精神
アメリカでは「Do It Yourself(DIY)」の文化が強く、自分で家を修理したり家具を作ったりすることが一般的です。特に郊外や農村では、広いガレージや作業場を持つ家庭も多く、趣味として木工を楽しむ人が多いです。
2. 独立心と創造性
開拓時代からの「自分で作る」「必要なものは自分で用意する」という独立心が根付いており、木工はその精神を表す趣味のひとつになっています。また、自由な発想でオリジナルの家具や道具を作ることを楽しむ人も多いです。
3. 高品質な木材が豊富
アメリカは広大な森林資源を持ち、オークやウォールナット、メープルなどの良質な木材が手に入りやすい環境です。そのため、木工を楽しむハードルが高く、プロからアマチュアまで多くの人が取り組みます。
4. 実用性と経済的な理由
既製品を買うよりも、自分で作ったほうがコストを抑えられる場合があります。特に高品質な家具やキャビネットなどは、市販品よりも自作することで費用を抑えつつ、満足度の高いものを作ることができます。
5. 伝統と家族のつながり
木工は世代を超えて受け継がれる技術であり、祖父や父親から子供へと技術を伝えることもあります。木工を通じて家族の絆を深めたり、手作りの家具や道具を家族に残したりする文化もあります。
6. 木工愛好家コミュニティの存在
アメリカには木工に関するフォーラムやYouTubeチャンネル、ワークショップなどが多くあり、初心者でも学びやすい環境が整っています。特に西洋鉋や旋盤などの道具の進化により、技術を学ぶ楽しさも加わっています。
こうした背景から、アメリカでは木工が単なる趣味ではなく、ライフスタイルの一部として広く親しまれています。
 
趣味で作った作品を人にあげる? 
 皆さんは、趣味で作った作品を人にプレゼントしたことはありますか? 心を込めて作ったものを誰かに贈るのは、とても素敵なことですよね。でも実は、それが「迷惑になるかもしれない」と言われることがあるんです。一体どういうことなのでしょうか?
まず考えられるのが 「品質の問題」 です。
趣味で作った作品は、プロの製品ほど品質が安定していないことがあります。例えば、手作りのお菓子をプレゼントした場合、衛生管理が十分でなかったり、賞味期限がはっきりしなかったりすることも。道具を作った場合も、使いやすさや安全性が十分でないと、ケガの原因になってしまうかもしれません。
次に 「相手の負担になる」 という点も見逃せません。
もらった人が「お返しをしなきゃいけない」とプレッシャーを感じたり、せっかくもらったのに「置き場所がない」「趣味に合わない」と困ってしまったりすることもありますよね。気持ちは嬉しいけれど、もらう側にとっては少し迷惑になってしまうこともあるのです。
さらに 「責任の所在が不明確」 という問題もあります。
もし作品に不具合があったら、誰が責任を取るのでしょうか? 特に、食品や道具の場合、安全性の保証がないと、万が一のトラブルにつながることも。趣味で作ったものだからといって、問題が起きたときに「責任は持てません」では済まされないこともあるのです。
もう一つ、 「商業活動との関係」 も考えなければなりません。
同じような作品を販売している人がいる場合、「無料で手に入るなら買わなくていいや」と思われてしまうことがあります。すると、プロの仕事に影響が出てしまうことも。善意でやったことが、思わぬ形で誰かの仕事を奪ってしまう可能性もあるのです。
こうした理由から、「趣味で作った作品を人にあげるのは迷惑になることもある」と言われることがあるのですね。もちろん、全てのケースに当てはまるわけではありません。でも、大切なのは「相手が本当に喜んでくれるかどうか」を考えること。プレゼントするときは、相手の気持ちを想像してみることが大事なのかもしれませんね。
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